感性の法則

一般的にスポーツバイクは年に一回、新作を発表するのが慣習となっています。

以前は2017年モデルと言えば2017年に販売したものですが、企業間のパイの奪い合いの結果、少しでも早く新モデルを発表してセールスを獲得したいというメーカー・問屋が日に日に増えまして、最近は春頃に次年度の新作を発表、夏前には発売という混沌としたマーケットになっております。そして春前には2017年モデルが既に処分価格で売られるという仕組みを、残念に思われるオーナー様もいらっしゃる事でしょう。

海外ブランドから見た日本は、非常に大きなマーケットに見えるので、ブランド側も販売数に大きな期待をするのですが、ブランド側の思惑とマーケットのリアルには大きな乖離があり、それがマーケットを歪にしてしまっているのは残念な事です。

毎年、何かしらの新作を出さなければならない、という焦りもしくは締め切りの為に新製品、新技術を作っていく様はお世辞にも格好の良いものではございません。数量を追い求めるあまり、ブランド創業時の情熱や想いが消えてしまっては、ブランドとしての存在価値そのものに悪影響を及ぼします。

と、他人事のように述べておりますが、ROCKBIKESも悲しいかな、比較検討されてご購入頂くケースが多く、多くの方にトレンドや価格の件でご意見を頂きます。

先ずトレンドに関しまして。

この『トレンド』という言葉、弊社のコンセプト『timeless』の対極にある言葉です。

トレンドに敏感になる事は、自身の生き様を頻繁に変更する事につながります。トレンドの発信源が自社であれば、問題無いのでしょうが、自転車業界のトレンドはフレームを作る企業ではなく、駆動系パーツのメーカーでございますので、もちろん弊社にマッチするアイディアは積極的に採用致しますが、闇雲に出てくるものに飛びつく事はございません。

ROCKBIKESを始めて多少の年月が過ぎましたが、今までの軌跡を自身で否定するつもりもございませんし、それはこの先も同様です。

弊社のリリースする製品は全て自社の価値観に基づいており、それは『カッコいい』バイクこそが最高のバイクであるというものです。

次に価格に関しまして。

弊社のバイクは一般的なブランドと比較しますと、決して安くはありません。また、セールも行いませんのでお買い得な時期もございません。

日本のメーカーが何故、海外メーカーより高いのか?とご質問を頂く事もしばしばですが、これには理由がございます。

まず検品を日本人スタッフが行なっておりますので、人件費で他メーカーと比較しますと明らかなコスト高です。

次に生産数ですが、生産数が少ないメーカーでございます。

前職で勤めていたアメリカの大手ブランドと比較しますと、年間生産数は1/100以下です。

生産数を増やせばパーツメーカーへの価格交渉力がつくのですが、弊社のスタンスとしてパーツメーカーに値下げの交渉は行いません。それは仕事のパートナーの人生を安く買う行為であり、この行為が世界を難しくしていると考えます。

むしろコスト高になっても、弊社の拘りを形にしてもらえるパーツメーカーとパートナーシップを結んでおります。

もちろん生産数を増やす事も可能ですが、生産数を増やし、検品の為に体力を使用しますと他の業務(特に製品開発)に悪影響を及ぼします。何せ、少人数で運営しているメーカーですので、生産数を増やす選択をする可能性は低いでしょう

価格の件で何より悲しいのが、日本のメーカーが海外製より安くて当然と思われるこの状況です。

ROCKBIKESはレース活動をしていないので、そのコストはもちろん掛かってきませんが、ディテールへの投資、また感性を磨く為の投資は惜しみません。

感性の領域は、数値化しにくいので中々ご理解頂くのが難しいのですが、感性で作られたバイクはそれを持たない場合と比較して少しだけ心にゆとりが生まれます。そして垢抜けて見えます。弊社はこの価値観を共有できるオーナー様、代理店、パーツメーカーと、人生を共に楽しんで生きる為のメーカーなのです。

競争から生まれたバイクは速いかもしれません。

ただこの世界に生まれた時から我々を含め皆様、競争を強いられてるケースがほとんどです。

好きなモノに接する時間ぐらいは、自分の感性に向き合っていたいと思います。